エンジンの特性を評価するといったら動力計である。 大学の研究室にあったので、まずそれが思い浮かぶ。 シャーシーダイナモというのもあるが、大がかりすぎる。 エコランで動力計を使っている人はいるのだろうか? 調べてみた。 東京メータ株式会社 のホームページに小型電気動力計というのがあって、最高吸収動力が5PSだ。 しかもゲトリーベさんの車両の写真まで載っている。 もろにエコラン用ではないか。 納入先も掲載されているが、大学や高校ばかり。しかも見たことある名前がいっぱい。 青山学院大学、名城大学、渋川市立工業高等学校、群馬県立前橋工業高等学校・・・・ あらあら、みんな使ってるのね。 試しに見積もりを取ってみたら、やっぱり高い。(定価156万円 販売価格はもうちょっと安い。) 当然だけど。 うちの場合20万円でも買わないな。それなら初めから見積もり取る必要もないけど、参考までにという事で。 買えないなら作るしかない。 大学の時に使っていたから原理は分かるけど、低予算で使いものになる装置ができるかな? |
で、作りました。 こんなボロでも なんだかんだで 75000円もかかってしまった。 通常、回転の負荷には発電機や渦電流発生器を使うのだが、普通の方式では安くならないので機械式の摩擦を使ったブレーキを使用している。 これは空気圧でブレーキ力を制御するようになっており、レギュレーターを介してコンプレッサーとつながっている。 荷重計にはヘルスメータを、回転計には自転車用のスピードメータ(エコランカーにつけてるのと同じ)を使っている。 燃料の消費はメスピペットの目盛りを読みます。 これにエンジンをまるごと載せて、出力軸を接続する。 原理的にはこれでいいはず。 |
さっそく試験開始。 エンジンを回してブレーキで負荷を与えながら、そのときの荷重と回転速度と、時間あたりの燃料消費量を計るのだ。 だが、やってみるとヘルスメータの針が振れて一定のところで安定してくれない。 機械式の負荷ではこんなもんか。 ブレーキユニットの謳い文句として微妙なトルク調整が可能とあったが、 渦電流式などの非接触の負荷や、流体を使った負荷に較べると、滑らかさは劣るよね。 負荷を増やしていくと回転速度が下がるわけだが、負荷を増やしているのにヘルスメータの荷重が下がったりする。 ・・・内部でクラッチが滑っているのだ。 負荷により回転が下がると遠心クラッチのつながりが悪くなってしまい、動力が伝わってこないらしい。 負荷を加えると針が上がり始め、回転速度が下がっていくと、今度はクラッチが滑って針が急に下がってしまう。 そのため、もともと振れている針がなおさら安定しない。 それに、出力軸の回転速度を計っているのに中で滑ってしまってはエンジンが何rpmで回っているのか分からないではないか。 また、発熱がすごい。ブレーキユニットが発熱して効きが悪くなるみたいだし、エンジン自体も凄く熱い。 煙も出てきた。 シリンダーだけでなくクランクケースあたりも凄く熱いぞ。 ・・・そんな調子で動力計と格闘しながら、振れるヘルスメータの針がなんとなく落ち着いた瞬間を狙って幾つかデータをとってみた。 瞬間といっても一定時間の燃料消費量も計らなければならないので、本当の一瞬ではないけど。 けれど怪しい結果だな。 とりあえず結果を集計してみました。 ほんの7ポイントのデータしかないけど。 結果 回転計は自転車のスピードメータなので、周長を設定すると速度で表示します。 この場合エコランカーに着けているタイヤに周長に合わせてあります。 うちの車両の場合出力軸と後輪が直結なので実際の速度との関係がわかりやすいです。 逆に回転速度は計算してもとめます。 出力軸の回転速度は計算値のとおりですが、エンジンの回転速度はクラッチの滑りがあるので正しい 値とはいえません。 そのためグラフの横軸は出力軸の回転数で示しています。 スロットル回度は1/4刻みで全開までやりたかったのですが、負荷が安定しなくて怖いし、煙も 出てきたので1/2でやめました。 回転速度はもっと低いところを調べたかったのに、低いところはうまく測れないので、結局40km/h 以上の範囲になってしまいました。 あらら そんな領域使わないじゃん。 燃料消費に関しては、5CCの消費時間を測りたかったけれど、安定した状態を持続するのが難しかった ので、1CCの消費時間で測定しました。 なんだかんだで誤差が多くなってるよなぁ 上のような結果がでたけれど、40km/h以上出さないから、 ちょっとねぇ・・・ でもクラッチが滑っちゃうから、滑りながら一定トルクで加速できる、と大雑把に考えてしまえば分かりやすい。 出力軸のトルクが15.93N・m出ているからクラッチを滑らしつつこのトルクで加速すれば
20km/hから37km/hの加速なら1.23CCの消費ってことか。 もし1周あたり3回掛けでツインリンクを周回できるとしたら、スタート1回と再加速14回だから、
ノーマルカブのエンジンという事ならちょっと良すぎる値なのかなぁ。 でもこんな大雑把な話をするなら動力計がなくてもいいのでは? とりあえず、一発目のデータが取れたという事でいいか。 後でエンジンを改造したときに比較になればいいけど。 結局、結果はあまり信用できないけど、クラッチが滑っている事を肌で感じた実験でした。 |